kananaの日記

名前変わりました。

「ちはやふるー上の句ー」観てきました。

本当は公開初日に行ったのだけど、観てから少し自分の中で反芻したくて。心の中にある棚の何かにそっと触れてゆくような、そんな大事にしたい作品。

観ながら思い出したのは、恩田陸の「中庭の出来事」の一節。

「TVでも、人気劇団でも、時々お客に対する甘えを感じる時があるわ。分かってくれるよね、ほら、これ、知ってるでしょ?僕たち、楽しそうにしてるけど、結構大変なのよ。裏で苦労してるのよ。そこんとこ、ファンだったら分かってるよね。舞台の上の役者から、そんな声が聞こえてくるような気がしてゾッとする。あれくらいみっともないものはないわね。お客の顔色を上目遣いに窺いながら作ってるものくらい、みじめなものはないわ。」

この言葉の、対極をいく作品だなぁ、って。

ネタバレはしたくないけれど、本当に原作を知っていても楽しめる作品。むしろ、競技かるたというあまり知られていないテーマだから、原作大好きな私も人に大きく勧めることはなかったのだけど、この映画のおかげで勧められそうって思えるような。こんなに原作を裏切らない実写化もそうそうない。むしろ、太一の運のなさの説明がされていて、納得したくらい。小説で、新がかるたから離れた間のことを知れたみたいに。そして原田先生の名言は、わかっていても泣いてしまった。あんな状況で言わずにいれなかった太一の気持ちも。個人的には、上の句は太一と机くんがキーパーソンだなぁ。

下の句の前売り券も、買いました。クリアファイル、見てるだけで元気になれてしまいそうなくらい、笑顔がたくさんで。今から詩暢ちゃん楽しみ。予告編の、腰椎の前弯ぷりだけは気になるけれど…笑!上の句の、アニメを思い出させるオープニングと、前半の高校生活への郷愁を味わうだけでも、もう一度観に行きたくなってしまう、なあ。

「もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし」