kananaの日記

名前変わりました。

小説「君の名は。」読みました。

子どもの頃、夕暮れの薄暗いなか、空を見上げた気持ちを思い出す。もう帰らなければいけないけれど、たくさん遊んだけれど、誰かに呼ばれているような、名前も知らない誰かに叫ばれたような、自分が叫び出した後のような心許ない気持ち。叫んでいるのに、誰にも聞こえない、叫んだかも忘れてしまうような、強烈な懐かしさ。主人公たちが感じたのは、きっとそんな原始的な、渇仰。全て知っていた相手を忘れてしまったかのような、心許なさ。残るのは、誰かを知っていたという、強烈な確信。

私にも、わかる、という気持ちがあってよかった。

久しぶりに、ページを繰る手が止まらず、時間を忘れてのめり込んだ。初めは青春の一葉から、次第に物語はサスペンスへ。見つからないかもしれないという焦燥感が、私も一緒に探して駆けているような気持ちにさせる。最後はやはり新海誠節なのねという感じ。誰にとっても、きっと、知っている物語になる。

私にとっての、知っていた物語、は。