kananaの日記

名前変わりました。

理学療法士としての日々。回復期病棟でのこと。

私のブログの一番人気の記事は不動で、

実習の日々のこと。どこかの学生さんが、見てくれているのかしら。

できることであれば、勇気をあげることができているかしら。

 

私自身としても忘れてしまわないように、いつか懐かしく思い出せるように、

前の病院での一日を残しておこうと思い立ちました。

私の小さな世界の、最前線にいた日々のこと。

 

朝起きて、出勤はリハ科でも五本の指。たまに一番。

誰もいない駐車場をわくわくしながら、鼻歌交じりで通り過ぎて、

朝一のリハ室のパソコンを立ち上げて、出勤簿に印鑑を押す。

病棟に行って、誰も触れていない予定表に、思うがままに自分の今日の予定を、

患者さんの名前の横に、自分の単位を取る予定を表明していく。

新人の頃は、三単位取ることを自信をもって朝に出来なかったけれど、

三年目ともなると、自分のメイン担当の患者様に予定を貼るだけで、

半日の予定が埋まっていく。

残りは後輩のフォローだったり、その日休みの先輩セラピストの患者様に、

ここぞとばかりに介入していく。

自分の所属するチームの患者様の様子やカルテを全て把握していくのが、もはや私の趣味だった。

予定を貼り終えてからは、朝勉強の時間。

週末に行った勉強会の資料を見返したり、リハ室の本棚から失敬した、

面白そうな本や論文の世界に没頭する。

このへんでようやく他のセラピストの皆さんが出勤してくるのだけど、

一人既に頭の中のエンジンがかかっていることが、嬉しかった。

勉強を切り上げて、あとは雑務。

カンファレンスの前なら実施計画書を書いたり、

家屋調査後なら報告書を作ったり。

本当は新人の仕事といわれているカンファのカレンダーつくりも、

そういう慣例が嫌いなので、逆らうようにこっそりやっていた。

後半は、仕事を奪っちゃいけないと思ってやめていたけど、好きな仕事。

そのあとは、朝の申し送り。

予定表の前にいるみんなに、時間ですよと声を張り上げるのも、

誰に任されたわけでもない、私の仕事。

 

朝の申し送りを終えて、そのあとは掃除。

これも予定立てが終わっているので、率先してやっていた。

時折来る、学生さんにも手伝ってもらいながら。

何かを一緒にやったことがある方が、後からでも声をかけてもらいやすいから。

そのあとは、お昼まで介入の時間。

私は三単位使いたい、メインの患者様を午後に回すので、

午前中はほぼフォローの患者様。

メイン担当に今の目標と最終的な目標を聞いて、

補助として自分の出来ることを添えていく感じ。

後輩が担当で、方向が違っていると思えば、

直接言ったりカルテに残したり。

 

お昼の休憩時間は45分。

だいたい20分くらいで切り上げて、ロッカーで歯磨きして、

10分前くらいには病棟にいた。

お昼休みにリハ室で雑談したりする人の方が多数なのだけど、

私はそうすると午後にまでエンジンが続かなくて。

お昼ご飯もお腹6分目くらい。眠くならないことを最優先。

そのあとは、昼礼でチームの話し合い。

カンファ後の進捗状況を話したり、今日の様子を報告したり。

後輩や自分も、今困っていることを相談したり。

なかなかに頭を使う場面。

 

午後からは、三単位の連続。少ないと4人くらい。

午前中も勿論そうだけど午後はもっと深く、自分と患者様に向き合う時間。

足りないところは、見落としている情報はないか、

先輩だったらどうするか、自分が苦手な問題点を見つけたら、

どのタイミングで先輩に任せて介入してもらうか。

そうやって頭を回しながら、相談員さんや、義肢装具師さんや、

ご家族さんやケアマネさんに連絡を取ったり。

時には市役所から、名指しで電話をもらったり。

面会に来たご家族さんに現状の報告をしたり、家屋調査の日取りを決めたり、

装具の説明をしたり、悩んでいることや不安なことの相談に乗ったり。

後輩や新人さんや、学生さんの見学が入っていると、

そこに更に時間を割いて、説明したり教えたりすることも。

辞める直前では、それが日常だった。

 

終わってからは夕礼。報連相の場。

後輩につかまって、介入した感想を聞かれたり助言したり。

そのあとは、プリセプターとして私についている、新人さんへのフィードバックの時間。勉強会や話し合いがなければ、だけれど。

介入して困ったことを聞いたり、わからないことを説明したり、

時には私も調べていって一緒に勉強したり。

 

そうして、ようやく一日が終わる。

帰って買い物してごはんを作って、食べてお風呂。

それの繰り返し。

ただなかにいた頃は、自分の無力さや終わりの見えなさに辛くなることもあったけど、

今こうして振り返ってみると、あの頃の前線に戻りたいとも思う。

紛れもなく、最前線にいたという高揚感。

「わたしが」必要とされていた、あの空間。

二度とは戻れないからこそ、今こうして、懐かしく愛おしく思う、大事な時間。